こんにちは!makeshopマガジン編集部です。

2023/6/8に、今年2回目となる「makeshop day」を福岡で開催しました。今回のテーマは「食品ECの最前線から学ぶ!必勝のEC戦略・戦術とは?」です。当日のリアル会場(アクロス福岡)には100名近くの方々にご参加いただき、さらにオンラインでは約150名のご参加をいただきました。ありがとうございます!

では、熱く盛り上がった「makeshop day FUKUOKA 6th anniversary」の超豪華7セッションのレポートを、前編・後編の2回に分けてお届けします。

食品ECの成功法則をスペシャリストに学ぶ!


まずは、今回のテーマを設定した背景について、開催のあいさつで登壇したGMOメイクショップ 常務取締役COO 兼 福岡支社長の古屋智久の言葉から紐解いていきましょう。

「物販系ECの市場規模において、食品ジャンルが最も大きい。ところがEC化率でみると、日本の平均が8.7%に対し、市場規模が最も大きい食品ジャンルは3.7%しかありません。まだまだEC化が進む領域ということです」

経済産業省の令和3年度デジタル取引環境整備事業(電子商取引に関する市場調査)によると、物販系ECの市場規模では食品ジャンルが最も大きく、25,199億円となっています。ところが、食品ジャンルのEC化率は3.77%に留まっています。二番目の市場規模となる家電・PC系ジャンルのEC化率が38.13%ですから、食品ジャンルのEC化率は10分の1程度であり、伸びしろが大きいということが読み取れます。

また、makeshopのデータからわかるのは、九州・沖縄地域に大きな伸びしろがあるということです。

「九州は、日本の経済圏において10%の規模と言われています。makeshopにおいても九州のショップ数は全体の約10%になります。ですが、流通額は全体の4.4%です。ジャンルとしては食品が約40%を占めるものの、流通額は約30%に留まっています。ここを伸ばしていきたい」

では、どうやって伸ばしたらいいのでしょうか。そこで今回のmakeshop dayは、伸ばし方をご存じの方に教えてもらおう!というコンセプトにより、スペシャリストの皆様を講師にお招きしました。というわけで、さっそく各セッションの模様をレポートしていきましょう。

第1部 変化する“食品ビジネスの現在地”から見る、食品ECの対策とは

オープニングを飾るセッションは、福岡商工会議所 産業振興部 産業振興グループ長の宮崎通樹様にご登壇いただきました。産業振興部では、食の専門展示会「Food EXPO Kyushu」や、食品の販路拡大のための商談会をプロデュースするなど、食品市場のトレンド創出や食品関連企業の販売支援に取り組んでいます。

食品市場のトレンドとしてご紹介いただいたのは、お中元やお歳暮の変化についてでした。宮崎様によると、「定番商品ではなく、(送り主が)実際に食べておいしいもの、本当にいいと思うものを送る傾向にあります。また、自分用として購入するケースも増えています」とのこと。その代表例として挙げていただいたのが「長方形のピザ」でした。トースターに入れやすいというのが購入理由であることから、まさに送り主が実際に食べて評価した商品だとわかります。

また宮崎様は、食品ECの運営事業者に向けて「ECだけではなく、リアルなイベントに出展することも大切です」と対面接客の重要性について説明されました。「日本の人口は確実に減っていきます。食品ビジネスは人口に需要が左右されるため、国内の競争が激しくなっていきます。勝ち抜くためには、ECに加えて、お客様を前にしてのデータを取得して活用してください」

一方で、世界規模では人口が増え続けているため、海外販売は「今からぜひやってほしい」と宮崎様。「みなさんのビジネスは世界の経済とつながっています」とし、人口動態は食品ビジネスに直結することから、「この流れにアンテナを立てて捉えてください」と参加者に呼びかけました。

makeshopでも、追加費用負担なしで簡単に海外販売を始められる機能をご用意しています。ぜひ導入をご検討ください。

第2部 老舗乳製品メーカーがゼロから始めたスモールBtoB。3年で売上10倍、リピート率77%の顧客接客術とは

第2部はトークセッションです。ご登壇いただいたのは、オーム乳業株式会社 本社販売部 企画管理課 企画グループの近浦貴人様です。モデレーターは、GMOメイクショップ株式会社 事業推進部 営業企画グループ グループ長の竹本佳和が担当しました。

オーム乳業株式会社は1934年設立という老舗企業です。「乳を通しておいしさと健康に貢献する」ことを使命とし、主に業務用の生クリームやチーズを製造・販売しています。BtoBのECサイトを始めたきっかけは、小規模のケーキ屋さんからの要望でした。

「問屋や代理店を経由して販売していますが、小規模のケーキ屋さんなどの小口のお客様は問屋や代理店に断られてしまうことがあります。そこにニーズがあることがわかり、小口のお客様に向け、ECサイトを始めました」と近浦様。同社の乳製品は職人の評価が高く、注文は全国から届いているとのことです。

オーム乳業株式会社はmakeshopを採用し、2019年からECサイトを運用しています。同社のECサイトの特徴は、まずカートボタンがあり、その下に商品の説明文が配置されています。通常は説明文の後にカートボタンを配置しますが、リピート率が高いことから、すぐに購入できるように配慮されたレイアウトにしました。こうした取り組みにより、ECサイトの売り上げは3年間で約10倍になり、リピート率も77%(2023年)と高く、年々伸びているとのことです。

現在では個人向けの販売もしており、SNSを活用した認知度向上や製品ラインナップの拡張などによってさらなる売上増を目指していく予定です。最後に近浦様は「つらくならないように楽しくやっていきたい」と語り、トークセッションを締めくくりました。

■オーム乳業WEB SHOP

第3部 「食」のウェブ戦略はなぜ難しいか?『独学と内製化』で人の感情を動かすことを追求する動画広告マーケティング

第3部はガードナー株式会社 専務取締役の福山剣介様にご登壇いただきました。

「ないなら作っちゃえ」の方針のもと、ものづくりの会社としてさまざまな商品を世に送り出しているガードナー株式会社。その方針ゆえ、同社では商品を作った後に“どうやって売るのか”を考えていきます。なかでも大ヒット中の商品が、骨盤をぎゅ~と締める「ガードナーベルト」です。腰の負担軽減や骨盤補正、腹圧ベルトなど、骨盤周りの多様な要望に応えることにより、発売1年で売上10億円を達成しました。

大ヒットを支えたのはSNSの動画広告でした。「動画広告は展示会で体験していただいた方の反応集にしました。ガードナーベルトを身に着けたときのみなさんは、とてもいい反応をしてくれます。その動画広告で売り上げを作ることができました」と福山様。ガードナーベルトの体験者の反応が、多くの人の心を動かしました。

以前は広告代理店に任せていた動画制作ですが、この広告は動画編集を独学で習得して作り上げました。勝算があったわけではありませんが、結果的に内製化は大きな転機となったそうです。「外に任せたら同じものはできません。商品に対する強烈な熱量が必要ですから。自分にしかできなかったという自信があります」と福山様は内製化のメリットを語りました。

食品をECで販売するのも同様で、おいしいのは当たり前であり、どれだけ妄想できるかがポイントになるとのこと。成功例として挙げたのが「生ドーナッツ」。実際には“生”ではないが、ちょっとした言葉の組み合わせで製品の魅力が伝わってくる。福山様は「自分で感じる。五感に訴える。〇〇そう!を追求する。情報5割、直観5割。自分を信じましょう」と参加者に呼びかけました。

本セッションでは、会場の参加者に協力していただいて、ガードナーベルトを試着するデモンストレーションも実施しました。ベルトをきゅっと締めたときの反応が動画広告と同様で、会場は大いに盛り上がりました。

■ガードナーオンラインストア

以上、makeshop day FUKUOKAのセミナーレポート前編では、第3部までの様子をお届けしました。次回の後編では、第4部~最後の第7部までご紹介しますので、ぜひご覧ください!