こんにちは!MakeShopマガジン編集部です。

先週の『【第1弾】突然の集中アタック!ほうっておくと大変なことに』に引き続き、クレジットカード不正利用対策のプロ、不正検知・認証システム「ASUKA」を運営する株式会社アクルの近藤社長に記事を寄稿していただきましたので、ご紹介します。ショップ運営の参考に、ぜひご覧ください!

アクル近藤社長

増加するクレジットカード不正利用~「不正顕在化加盟店」とは何か?本質的な不正対策とは~

変化するクレジットカード不正利用対策

売上が上がり、「やったー」と喜ぶのもつかの間、カード会社からチャージバックの通知が入り、売上が取消しされる。気づいた時には商品は不正利用者の手に渡り、転売されてしまっている。数万円、数十万円の売上を失うわけですから、EC加盟店にとっては非常に痛手です。

ですが、何のために不正対策をするのでしょうか?もちろん不正被害金額をゼロにするというのは間違いではありません。しかし、2020年半ば以降からその対策の在り方についてEC加盟店に変化が求められてきているのも事実です。

割賦販売法の改正

ご存知かとは思いますが、2018年6月に割賦販売法が改正され、クレジットカード番号の非保持化や不正利用対策の義務化が定められました。また、クレジットカード会社によるカード加盟店の途上与信審査の強化もうたわれています。

実は2020年に入り、この途上審査強化がより顕著になっている状況があります。不正を野放しにしているカード加盟店には非常に厳しい指導が入ります。中でも「不正顕在化加盟店」に指定されると厄介で、様々な面で不利益を被ります。

「不正顕在化加盟店」とは

「不正顕在化加盟店」とは、簡単に言うと「カード加盟店のブラック登録」です。不正被害の多い加盟店が指定されるわけですが、JDM※(加盟店情報交換センター)に、”要注意”として登録されます。この「不正顕在化加盟店」に登録される加盟店が非常に増えています。

「不正顕在化加盟店」に登録されるとカード会社より諸々指導が入り、具体的な不正対策を要求されます。それでも不正利用が減少せず、意図的に不正対策を怠っていると判断された場合は、究極はカード加盟店契約を解除され、カード決済を止められてしまうという非常に厳しいものです。

ちなみに主な基準は、カード会社(アクワイアラー)各社が把握する不正利用金額が「3ヵ月連続50万円超」となっています。

※加盟店情報交換センターは、「JDMセンター」とも呼ばれ、日本クレジット協会が割賦販売法の規定に基づいて運営する、利用者等の保護に欠ける行為に関する情報の加盟会員会社からの登録及び加盟会員会社への提供を行う機関(一般社団法人)をいいます。

オーソリゼーション承認率の厳格化

実は不正利用の増加は、「不正顕在化加盟店」登録の他に、もう一つ厄介な事象を生んできます。2020年から増加していますが、それが「オーソリゼーション承認率の厳格化」です。

これはカード会社(イシュアー)が、特に不正利用の多い加盟店に対して厳しめに閾値を設定し、結果的に承認率が低下している事象です。実はこれをやられると非常に厄介です。

なぜなら、ユーザーがカード決済で弾かれるからです。オーソリゼーションでエラーが頻発します。これの何がキツイのかと言えば、単純に「機会損失」になるからです。もしかするとチャージバックより厳しいかもしれません。知らないところで離脱が多発するわけです。

しかもこれを正常に戻すには、ユーザー自ら発行カード会社(イシュアー)に問い合わせをしてもらう必要があります。しかし、他社で代替えがきくものであれば、カード決済がなぜかできないとして、そのまま離脱してしまうでしょう。

本質的な対策とは何か

不正対策を考える時に、過去の被害金額をベースとする加盟店が非常に多いのも事実です。たとえば直近年間10万円の被害があったとして、その金額以上の対策工数をかけたくないなど、「勝ち負け」で対策を考える傾向があります。しかし、将来的にそれ以上の被害を受ける可能性もあるわけです。

また重要なのは、「不正顕在化加盟店」にならない、「イシュアーの承認率を下げない」ためにはどうすればいいかを考えることです。2020年から不正対策の潮目が変わったというのはこういった考え方になります。

不正利用者は今や集団で生業としてアタックをかけてきていますが、カード決済に課題がある限り不正はなくならないと考えています。そういった意味で、不正対策はゴールのないマラソンのようなものですが、少しでも違和感があるのであれば、チャージバック対策の専門家にすぐに相談してください。また不正対策ツールなどの実装も検討すべきでしょう。

MakeShopで利用できるクレジットカード不正利用防止ツール
「ASUKA」紹介ページ

以上、アクル近藤社長の寄稿記事【第2弾】をご紹介しました。

次週は、最終回となる『【第3弾】急増する「クレジットマスター」アタックの恐ろしさとは』をお届けしますので、ぜひ最後までご覧ください!